近年、サイバー攻撃の手法が高度化・巧妙化しており、ECサイトのセキュリティ対策はこれまで以上に重要となっています。
顧客の個人情報や決済情報を扱うECサイトは攻撃者にとって魅力的な標的であり、一度でもセキュリティ事故が起これば企業の信用失墜や法的責任に直結します。このような背景から、経済産業省(以下、経産省)はECサイトへの脆弱性診断の実施を強く推進しています。今回は、その背景や具体的な取り組みについて解説します。
なお、本記事はバラクーダネットワークスジャパン株式会社と株式会社テンダのコラボレーションによるものです。
経産省の取り組み
サイバーセキュリティ経営ガイドラインの策定
経産省は、企業がサイバーセキュリティを経営課題として捉えるための指針として、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を策定しています。このガイドラインでは、経営層がサイバーリスクを理解し、適切な投資と人材配置を行うことの重要性が強調されています。
情報セキュリティ対策の強化
経産省は、ECサイトを含む情報システムのセキュリティ対策を強化するため、以下のような取り組みを行っています。
- 「情報セキュリティ10大脅威」の公開: 毎年、最新のサイバー攻撃手法や脅威をまとめ、企業や個人に対策を促しています。
- 業界団体との連携: 日本クレジット協会や電子商取引推進協議会などと協力し、セキュリティ基準やガイドラインの整備を進めています。
脆弱性診断の義務化の背景
サイバー攻撃の増加と被害拡大
サイバー攻撃は年々増加しており、特にECサイトを狙った攻撃は深刻な問題となっています。情報漏洩やサイト改ざん、サービス停止などの被害が発生し、企業の信用や経済的損失につながっています。
法的リスクの高まり
個人情報保護法や不正アクセス禁止法など、セキュリティ対策の不備に対する法的責任が厳しく問われるようになっています。適切な対策を怠った場合、罰則や損害賠償のリスクが高まります。
国際的なセキュリティ基準への対応
クレジットカード情報を扱う企業には、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠が求められます。この基準では、定期的な脆弱性診断やペネトレーションテストの実施が義務付けられています。
現状の義務化状況
2024年度末を目標に経産省がECサイトへの脆弱性診断の義務化を目指しています。まだ、罰則もありませんが、現在でも以下のような形で事実上の義務化が進んでいます。
- ガイドラインでの強い推奨: 経産省のガイドラインや各種指針において、脆弱性診断の実施が強く推奨されています。
- 業界標準の確立: クレジットカード業界などでは、PCI DSSへの準拠が事実上の業界標準となっています。
- 取引先からの要求: 大手企業や公的機関が、取引条件として脆弱性診断の実施証明を求めるケースが増加しています。
ECサイト運営者への影響と対応策
- 定期的な脆弱性診断の実施
ECサイト運営者は、専門のセキュリティ企業や信頼性の高いツールを利用して、ウェブサイトやアプリケーションの脆弱性診断を定期的に行う必要があります。 - セキュリティポリシーの策定と徹底
組織全体でセキュリティ意識を高めるために、明確なセキュリティポリシーを策定し、全従業員に徹底させます。 - 最新のセキュリティ技術の導入
WAF(Web Application Firewall)の導入や、SSL/TLSの適切な設定、マルウェア対策など、最新のセキュリティ技術を積極的に採用します。 - 従業員教育の強化
サイバーセキュリティに関する教育や研修を定期的に実施し、従業員のスキルアップと意識向上を図ります。
まとめ
経産省が推進するECサイトへの脆弱性診断の実施は、現時点では法的な義務ではないものの、義務化が予定されていること、企業の社会的責任やビジネス上のリスク管理の観点から、事実上の必須事項と言えます。顧客の信頼を守り、法的リスクを回避するためにも、積極的にセキュリティ対策を強化していくことが求められます。
対応策にもでてきた WAF(Web Application Firewall)の導入に関して、Barracuda Networksではオンプレ、SaaS双方のソリューションを展開しています。また、これらの製品にはお客様の保護サイトを定期的に脆弱性検査する機能が標準で搭載されています。一挙両得のBarracuda WAFを、ぜひこの機会にご検討いただけますと幸いです。
関連URL
・バックアップとアーカイブ(Barracuda)
https://mssp.tenda.co.jp/office365/barracuda/
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