各業界ガイドラインが義務化へ? 今こそ知るべき多要素認証(MFA)の重要性

近年、サイバー攻撃の手法は巧妙化し、企業や組織の情報資産を狙った脅威は増大する一方です。特に、認証情報の窃取や不正利用による被害は後を絶ちません。このような状況下で、従来のパスワード認証だけではセキュリティを確保することが困難になっています。

本記事では、なぜ今「多要素認証(MFA)」が不可欠とされているのか、最新の業界ガイドラインや国内外の動向を踏まえながら、その重要性を解説します。この記事を読むことで、自社のセキュリティ対策を見直し、強化するための具体的なヒントを得られるでしょう。

パスワード認証だけでは守れない現実

驚くべきことに、「基本Webアプリケーション攻撃」によるデータ漏洩/侵害において、盗まれた認証情報の悪用による「ハッキング」攻撃が77%※という報告がされています。これは、IDとパスワードの組み合わせだけに頼る認証方式がいかに脆弱であるかを示しています。2021年に発生した米国大手石油パイプライン運営企業へのサイバー攻撃の事件では、盗まれた認証情報が侵入の糸口となり、結果としてパイプラインの操業停止という深刻な事態を招きました。このような事件は、決して他人事ではありません。

※ベライゾン 2024年度 DBIRデータ漏洩/侵害調査報告書より

従来の認証方式が抱える課題や弱点

パスワード認証には、いくつかの根本的な課題が存在します。まず、推測されやすい単純なパスワードや、複数のサービスでのパスワード使い回しは、依然として多くのユーザーに見られます。一方で、複雑すぎるパスワードポリシーは、かえってパスワードのメモ書きや記憶違いといったヒューマンエラーを誘発し、セキュリティリスクを高める可能性があります。

また、一時的な対策として導入されることがあるワンタイムパスワード(OTP)も、フィッシング攻撃に対しては脆弱性が指摘されています。さらに、退職した従業員や関係者による不正アクセスも、パスワード管理だけでは防ぎきれないケースが増えています。これらの課題は、パスワードという「知識情報」のみに依存する認証方式の限界を示唆しています。

多要素認証(MFA)による課題解決策とは

これらの課題に対する強力な解決策が「多要素認証(MFA)」です。MFAは、認証の三要素と呼ばれる「知識情報(パスワードなど)」「所持情報(スマートフォン、ICカードなど)」「生体情報(指紋、顔認証など)」のうち、二つ以上を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。

仮にパスワードが漏洩したとしても、攻撃者は第二、第三の認証要素(例えば、本人のスマートフォンに送られる確認コードや、本人の指紋認証)を突破しなければならず、不正アクセスのハードルを格段に高めることができます。特に、近年注目されているのは、フィッシング攻撃への耐性が高い認証方式(FIDO認証など)を組み込んだMFAです。これにより、巧妙な偽サイトへ誘導されて認証情報を入力してしまうといったリスクを大幅に低減できます。

各業界ガイドラインが示すMFA導入の流れ

MFAの重要性は、個々の組織のセキュリティ意識の高まりだけでなく、国内外の政府機関や業界団体が策定するガイドラインにおいても明確に示されています。もはやMFAは「推奨」から「必須」へと移行しつつあります。

  • 政府機関・自治体:
    • 米国では、2022年に大統領令の覚書(M-22-09)が署名され、政府機関におけるゼロトラスト・アーキテクチャへの移行と、その中核要素としての強力なMFA(特にフィッシング耐性のあるもの)の採用が義務付けられました。
    • 日本でも、デジタル庁、総務省など各省庁、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)などが発行する各種ガイドラインにおいて、クラウドサービス利用時や重要システムへのアクセスにおけるMFAの導入が強く推奨、あるいは必須要件とされています。
  • 医療業界: 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、利用者認証におけるMFAの早期採用が推奨されており、2027年度以降も利用するシステムにはMFA機能の実装が求められています。患者の機密情報を扱う医療機関にとって、MFAは不可欠な対策です。
  • 製造業界:  経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver1.0」では、外部ネットワークからの侵入防止対策において高いセキュリティレベルが求められる利用者ゾーンの認証では、MFAを導入し厳格に行うことを推奨しています。
  • 金融業界: 金融庁のガイドラインでも、重要なシステムへのアクセス制御における基本的な対応事項としてMFAの使用が挙げられています。
  • その他の業界: 自動車、建設、教育、重要インフラ(航空、空港、鉄道、物流)など、幅広い業界のガイドラインにおいても、クラウド利用時やリモートアクセス時のセキュリティ対策としてMFAの導入が明記されるケースが増えています。

さらに、Salesforce、Google、Microsoftといった主要なクラウドサービスベンダーも、セキュリティ強化のため、サービス利用におけるMFAの有効化を必須とする動きを加速させています。

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まとめ・結論

本ブログでご紹介した導入ステップを実現するためには、以下のようなツールや環境が必要です。

サイバー攻撃のリスクは常に存在し、パスワードのみに依存した認証はその有効性を失いつつあります。MFAは、複数の認証要素を組み合わせることで、不正アクセスに対する防御力を飛躍的に高める、現代において不可欠なセキュリティ対策です。

そして今、MFAの導入は単なるベストプラクティスではなく、多くの業界ガイドラインで要求される標準的な対策となりつつあります。ガイドラインへの準拠、そして何より自社の情報資産と事業継続性を守るために、MFAの導入・強化を早急に検討することが強く推奨されます。まだ対策が不十分な場合は、速やかに導入計画を進めるべきでしょう。

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関連URL:

「フィッシング耐性のあるMFA(多要素認証) 導入の必要性」に関する過去のブログ
https://mssp.tenda.co.jp/blog/office365/4751/

MFA導入の課題に関する過去のブログ
https://mssp.tenda.co.jp/blog/office365/5549/

Microsoft 365を強固な認証でセキュリティを強化するID管理プラットフォーム
https://mssp.tenda.co.jp/office365/cloudgate_uno/