Power Appsの紹介(導入検討向け)

本稿では、Microsoftが提供するPower Appsを紹介します。一部、主観も含めつつ、Power Appsの導入を検討している方々に向けてポイントを解説します。

Power Appsとは?

Power Appsは、Microsoftが提供するビジネスアプリ構築用のサービスです。Microsoftが展開するローコードなアプリケーション開発やデータ分析のプラットフォーム、「Power Platform」を構成する要素の1つです。
Power Appsのサービス自体は2016年ごろから提供が始まり、需要が高まってきた印象です。DX推進、Microsoft 365の活用、Notesの移行先など、さまざまな目的で弊社へのご相談も増加しています。

Power Platformの構成

  • Power Apps:ビジネスアプリ構築
  • Power Automate:ビジネスロジック構築(ワークフロー)
  • Power BI:ビジネス分析(データの視覚化)
  • Power Virtual Agents:チャットボット構築

 

Power Appsの特徴

ローコードな開発

Power Appsはローコードで構築できるため、プログラミング経験のない方でもアプリケーションを作成することができます。

ローコードとノーコード

  • ローコード:ソースコードが少し必要
  • ノーコード:ソースコードが不要

豊富なデータソース

Power Appsには、275以上のコネクタが用意されており、さまざまなデータソースを使用することができます。また、1つのアプリ内で複数のコネクタを使用することで、複数のデータソースを複合的に用いることも可能です。

Power Appsで利用可能な主なデータソース

  • Dataverse
  • SharePoint
  • Dynamics 365
  • SQL Server
  • Azure SQL
  • Microsoft 365

用途に合わせて選べるタイプ

Power Appsには、アプリ作成のタイプが3つ用意されていて、用途や使用者によって使い分けることができます。また、3タイプの他に、SharePointリストのフォームカスタマイズにもPower Appsを使用できます。

キャンバスアプリ

空白のキャンバス上に、コントロール(ラベル、入力、グラフなど)を配置していくことでアプリを作成できるタイプです。画面のサイズを選択すると構築画面(Power Apps Studio)が開き、すぐにアプリ作成に取り掛かれます。必要に応じて画面レイアウト(トップ、一覧、フォームなど)やビジネスロジックなどを細かく設定できるなど、自由度が高くなっています。
※複雑なビジネスロジックはPower Automateなど他サービスとの連携が必要になります。

タイプの特徴

  • 敷居の低さ:★★★
  • 自由度 :★★☆
  • 作成コスト:★★★
  • 保守性 :★☆☆

モデル駆動型

Dataverse上のデータを基にアプリを作成できるタイプです。モデル化(アプリに必要なデータやデータ間の関連性を定義すること)されたデータを用いることで、用意されたコンポーネントを選択するだけで見映えの良いアプリを簡単に作成できます。

タイプの特徴

  • 敷居の低さ:★★☆
  • 自由度 :★☆☆
  • 作成コスト:★☆☆
  • 保守性 :★★★

ポータル

外部に公開できるWebサイトを作成できるタイプです。作成時に指定するホスト名と固定のドメイン名(powerappsportals.com)の組み合わせでURLが用意されて、外部からのアクセスが可能になります。コンポーネントごとにソースコードにアクセスできて、HTMLによる編集が可能です。
※ポータルで作成できるアプリは1テナント1つまでという制限があります。

タイプの特徴

  • 敷居の低さ:★☆☆
  • 自由度 :★★★
  • 作成コスト:★★★
  • 保守性 :★★☆

SharePointリストのフォームカスタマイズ

SharePointのリストで使用するフォームをPower Appsでカスタマイズできます。作成画面はキャンバスアプリと同じなので、キャンバスアプリ作成の経験者であれば同じ操作で作成できます。また、キャンバスアプリと比較して作成範囲がフォーム画面に限定されるため、作成コストを抑えることができます。

タイプの特徴

  • 敷居の低さ:★★★
  • 自由度 :★★☆
  • 作成コスト:★★☆
  • 保守性 :★★☆

 

Power Appsの注意点

開発志向は必要

ローコードのため機会は少ないものの、ソースコードを書く場面はあります。また、最適なアプリを作成するには、データのモデル化が必要になります。アプリの開発経験がまったくない方が、いきなりPower Appsでアプリ開発を始めると、データのモデル化に挫折してしまうことが多いです。まずは、Power Appsの概要や一般的なシステム構成について学習することをお勧めします。

学習用コンテンツの例

有料機能あり

Power Appsで使用できる機能は、自身のライセンスによって決まります。例えばコネクタは、データソースによって標準コネクタとプレミアムコネクタに分類され、プレミアムコネクタは一部ライセンスでは使用が不可となっています。

アプリ構築を検討する際、自身のライセンスで使用できる機能を予め把握しておくことが必要です。以下は、ライセンス別のコネクタ使用可否です。その他機能制限については、公式サイトよりご確認ください。

公式サイト

 

導入のポイント

Power Appsも含めて、Microsoft 365で提供されているサービスを最大限活用するコツは、「サービスを業務に合わせる(カスタマイズする)のではなく、用意された機能にどう業務を合わせていくか」です。Power Appsは、特性にあったアプリ開発であれば、間違いなく高いコストパフォーマンスを発揮します。しかし、特性に合っていないアプリを強引に実装しようとすると、かえって通常のWeb開発手法(プログラミング)よりもコストがかかってしまうこともあります。
アプリ開発の手法をPower Appsに無理に一本化するのではなく、選択肢の一つとして認識しておくことが大切です。

 

Office365 利活用|株式会社テンダ