
テンダグループにJoinしたAlmondoより、定期的なブログ発信を始めます。AIについての情報を中心に、読者のみなさまに役立つ形でお届けしていきます。
近年、生成AIを使った業務効率化の話題を耳にする機会が増えています。しかし、実際に現場で使ってみると「答えが不正確」「社内の情報が反映されていない」と感じたことはありませんか?
たとえば、営業チームのリーダーが「AIを使えば提案資料の作成時間が減るはずだ」と試してみたものの、出力された内容は一般的すぎて自社製品の仕様や最新の価格表が反映されていない…。結局、部下が一から修正することになり、効率化どころか手間が増えてしまった――そんな経験を耳にすることも少なくありません。
本記事では、そんな課題を解決するカギとなる「RAG(検索拡張生成)」について解説します。
RAGとは?AIの新しい仕組み
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、AIが質問に答える際に、あらかじめ用意されたデータベースから関連情報を「検索」し、その情報を基に「文章を生成する」仕組みです。
簡単に言えば、AIが「調べてから答える」イメージです。この工程を踏むことで生成AIからの回答精度が格段に上がります。

なぜRAGが必要なのか?
生成AIは万能に見えますが、実際には特定のタイミングまでに学習したデータに基づいて答えているだけです。そのため、最新情報や自社独自のノウハウには対応できず、時には「もっともらしいけれど誤った答え(ハルシネーション)」を返すこともあります。
RAGを導入することで、AIは社内マニュアルやナレッジベースを検索し、その情報を基に回答を生成します。これにより、精度と信頼性が大幅に向上します。
現在のChatGPTが最新情報も考慮して回答ができるのは、このRAGによりインターネット上の最新情報を反映しているからです。しかし、外部に公開されていない社内マニュアルなどの情報は独自に反映する必要があります。
RAG導入の効果:精度と安心感の両立
RAGを導入すると、回答の正確性が格段に高まります。AIが根拠となる資料を参照することで誤回答が減り、専門家の代役を任せられるようになります
実際に、あるホームセンターではRAGを組み込んだシステムを導入した結果、月3万件の問い合わせに97%以上の精度で回答できるようになりました。これにより、従業員は調べる時間を削減し、本来の業務に集中できるようになったのです。
現場リーダーにとってのメリット
RAGは、プレイングマネージャーや現場リーダーにとって「人に依存していたナレッジを組織全体に広げる」ための強力な武器です。
・新人教育:マニュアルを探さなくてもAIが答えを示すので、即戦力化が早まります。
・製造現場:ベテラン技術者のノウハウを体系化し、AIを通じて次世代に引き継げます。
・問い合わせ対応:FAQの自動化により、繰り返し質問への対応負担を軽減できます。
こうした効果により、リーダーは「教える・探す」作業に追われる時間を減らし、より専門性・創造性の高い業務に注力できます。
導入成功のカギは「データ整理」
RAGを導入すれば自動的に精度が上がるわけではありません。重要なのは「データを整理し、AIが正しく参照をできるようにすること」です。
PDFやExcelをそのまま読み込ませても、AIはうまく検索できません。テキスト抽出やタグ付けといった前処理を行い、AIが参照しやすい形に整える必要があります。
言い換えれば、本棚に雑然と置かれた資料を、きちんと分類して目次を付ける作業です。この準備を怠ると、AIは力を発揮できません。
まとめ:AIを「頼れるチームメンバー」に
生成AIを「とりあえず使ってみる」段階から、「組織の生産性を底上げする仕組み」として活用する段階へステップアップするために、。RAGはその第一歩となる技術です。
リーダーの役割は、AIを導入することではなく、現場の知識をどう整理し、どう活かすかを見極めることです。AIが頼れるチームメンバーとなるための土台づくりこそ、今後の現場リーダーに求められる視点といえるでしょう。
次回は、社内に眠っている音声や文章等のナレッジをどう活用するか、事例を交えてお伝えします。
また、お客様の状況に合わせた生成AIソリューションのご提案、具体的なPoC(概念実証)のご支援、開発・実装までを一貫してサポートしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。