本記事は、Power BI入門者を対象としたシリーズの第4回です。
前回の記事では、 野球データを用いたレポートの作成方法の前編として、Power Queryによるデータ加工、Power BIへのデータ取り込みについて触れてきました。
今回は、 Power BI Desktopでのデータ加工方法とグラフ作成手順を紹介します 。
ハンズオン後編の概要
ハンズオン後編で行うことは大きく二つあります。
1つ目は、Power BI Desktopでのデータの加工です。
Power BI Desktopでは表示単位の変更・列の追加・メジャーの作成を行うことができます。
今回はメジャーの作成に焦点を当てます 。
2つ目は、レポートの作成です。
横棒グラフ×1・スライサー×5・図形×1・テキストボックス×1を作成します。
Power BI Desktopでのデータ加工
まず、Power BI Desktopでのデータ加工として、メジャーの作成を行います。
メジャーとは、取り込んだデータに対する計算式のことを指します。
今回作成するメジャーは、横棒グラフで表示される各選手の成績の表示が、スライサーで選択した指標に沿って変更するためのものです。
メジャーのコードは以下の通りです。
指標(データ切替用) =
SWITCH(
SELECTEDVALUE('指標テーブル'[指標]),
//集計した値をX軸に格納する必要があるため、仮でsumを使用。minやAVERAGEでも可
//率を表すものは小数点第四位で四捨五入
"打率", ROUND(SUM('野球成績'[打率]), 3),
"試合", SUM('野球成績'[試合]),
"打席", SUM('野球成績'[打席]),
"打数", SUM('野球成績'[打数]),
"安打", SUM('野球成績'[安打]),
"二塁打", SUM('野球成績'[二塁打]),
"三塁打", SUM('野球成績'[三塁打]),
"本塁打", SUM('野球成績'[本塁打]),
"塁打", SUM('野球成績'[塁打]),
"打点", SUM('野球成績'[打点]),
"四球", SUM('野球成績'[四球]),
"死球", SUM('野球成績'[死球]),
"犠打", SUM('野球成績'[犠打]),
"犠飛", SUM('野球成績'[犠飛]),
"盗塁", SUM('野球成績'[盗塁]),
"出塁率", ROUND(SUM('野球成績'[出塁率]), 3),
"長打率", ROUND(SUM('野球成績'[長打率]), 3),
"OPS", ROUND(SUM('野球成績'[OPS]), 3),
SUM('野球成績'[本塁打])
)
こちらのコードでは、SWITCH 関数を使用して、「指標テーブル」の「指標」列の選択された値に基づいて、異なる野球成績の合計値を計算しています。
打率・出塁率・長打率・OPSはそれぞれ合計値を計算し、小数点第4位で四捨五入します。
それ以外は、それぞれの指標の合計値を計算します。
このメジャーを横棒グラフのx軸に格納することで、スライサーに基づき各選手の成績の表示が変化する横棒グラフが作成できます。
レポートの作成
次にレポートの作成を行います。
Power BI Desktopでグラフを作成する際に行うことは大きく3点あります。
1点目は、作成するビジュアルの選択です。
視覚化タブのビジュアルのビルドから、横棒グラフやスライサーといった作成したいビジュアルの選択を行います。
2点目は、格納するデータの選択です。
グラフのX軸、Y軸等に表示させたいデータを選択します。
3点目は、グラフのビジュアルの調整です。
横棒の色や、タイトル、凡例の表示場所など、グラフの細かいビジュアルの調整を行います。
では、実際に横棒グラフの作成を行います。
視覚化タブのビジュアルのビルドから、「積み上げ横棒グラフ」を選択してください。
次に格納するデータの選択を行います。
今回は、X軸に野球成績テーブルの「名前」、Y軸に野球成績テーブルの「指標(データ切替用)」、凡例に野球成績テーブルの「チーム名」を格納します。
今回は、ビジュアルの書式設定タブの「ビジュアル」と「全般」で調整を行います。
「ビジュアル」と「全般」に分けて変更点を記載します。
変更点に従ってビジュアルの調整を行ってください。
以下のように横棒グラフが配置されていれば、ビジュアルの調整完了です。
次に指標のスライサーの作成を行います。
視覚化タブのビジュアルのビルドから、「積み上げ横棒グラフ」を選択してください。
次に格納するデータの選択を行います。
今回はフィールドに指標テーブルの「指標」を格納します。
今回は、ビジュアルの書式設定タブの変更とフィルターを用いてビジュアルの調整を行います。
「ビジュアル」と「全般」に分けて変更点を記載します。変更点に従ってビジュアルの調整を行ってください。
次に、フィルターの設定を行います。
スライサーに表示される指標から、成績と関係ない「チーム名」「既定打席」「出身」「席」「背番」を取り除きます。
「すべて選択」を選択後、表示しない指標のチェックボックスを外してください。
以下のように指標スライサーが配置されていれば、ビジュアルの調整完了です。
残り「打席」「既定打席」「出身」「チーム名」のスライサーを作成します。
残りのスライサーは「指標」スライサーをコピペすることでビジュアルの調整を少なく作成することができます。
指標スライサーを選択後、ctrl + c、ctrl + vを入力してください。
複製を4つ作成し、画面上の空白に収まるよう配置してください。
次に格納するデータの選択を行います。
複製したスライサーのフィールドに格納されている指標テーブルの指標を削除し野球成績テーブルの「席」「既定打席」「出身」「チーム名」を格納してください。
今回は、ビジュアルの書式設定の変更とフィルターの調整を行います。
まずビジュアルの書式設定の変更を行います。
「ビジュアル」と「全般」に分けて変更点を記載します。
変更点に従ってビジュアルの調整を行ってください。
次に、フィルターの設定を行います。
「既定打席」スライサーの空欄のチェックボックスを非表示にします。
「既定打席」スライサーを選択後、フィルターを展開し既定打席のチェックボックスにのみチェックを入れて下さい。
以下のように「席」「既定打席」「出身」「チーム名」スライサーが配置されていれば、ビジュアルの調整完了です。
最後に、図形とテキストボックスを作成します。
先に図形から作成します。まずビジュアルの選択を行います。
挿入タブの図形から「(四角形)四角形」を選択してください。
表示された青い四角形を左上の空白部分に収まるよう拡大縮小して配置してください。
以上で図形の作成完了です。
次にテキストボックスの作成を行います。
表示されたテキストボックスに「2024年 野球成績レポート」と記入し、以下のように書式設定テキストボックスを変更して下さい。
最後に、「2024年 野球成績レポート」のフォントの調整を行います。
次のように変更してください。
フォントサイズ:24
フォントの色:白
太字
下記のように、テキストボックスが配置されていれば作成完了です。
以上で野球データを用いたレポートの作成完了です。
まとめ
以上でPower BI Desktopでのデータ加工とグラフ作成が終了し、ハンズオンレポート作成が完了です。
今後もPower BIに関する有益な情報を提供していくので、ぜひ引き続きお読みください!